耳の病気① 外耳・中耳
耳の穴〜鼓膜の手前が外耳、
鼓膜の奥にある部屋が中耳です
主に異物、炎症についてご説明します
耳垢栓塞
原因・症状
外耳に耳垢(みみあか)が詰まってしまう状態です。耳垢の固さは人によって様々で、詰まりやすい方と詰まりにくい方に分かれます。難聴、耳がふさがった感じなどの違和感、異物感がします。
治療
器具を使って摘出をします。固くてすぐに取れない場合には耳垢を溶かす薬を点耳して取ります。放置すると外耳道真珠腫という、外耳道の外の骨を破壊していく進行性の状態になる場合があります。
外耳道異物
原因・症状
外耳にビーズなどの小さいおもちゃや虫が入って、取れなくなった状態です。耳がふさがった感じや異物感が強く、痛みがでる場合があります。
無理に取ろうとすると外耳や鼓膜に傷がついたり、出血することがあるため、耳鼻科への受診をお勧めします。
治療
器具を使って摘出をします。小さいお子さんの場合は痛みなどにより摘出が難しい場合があります。
外耳湿疹
原因・症状
外耳のかゆみが主な症状です。原因は「耳そうじのし過ぎ」が最も多いです。外耳に皮膚は刺激に弱く、傷つきやすいです。かゆい症状が出ると、さらに綿棒などでこすって掻き、さらに傷つけてしまいます。かゆい→掻いて傷をつける→かゆくなる、の悪循環になり、細菌が入ると外耳炎になります。
治療
ステロイド剤の軟膏で治療をします。かゆみが強い場合には抗アレルギー薬の内服を併用します。耳そうじ、耳かきをし過ぎないようにお勧めし、多くの方が快方に向かいます。
外耳炎
原因・症状
外耳に細菌が入り、炎症が起こる状態です。症状は外耳の腫れ、痛み、耳だれです。耳の穴を押したり、耳を引っ張ったりすると痛いのが特徴です。外耳道が傷ついた状態でプールに入ったり、指で触ることで、細菌感染が起こりやすくなります。
治療
耳を洗浄した後、軟膏など塗布するなどの処置をし、抗生剤の点耳薬や内服薬で治療します。カビ(真菌)が原因の場合は直りにくいことが多く、耳の処置を根気よく繰り返します。
中耳炎
急性中耳炎
原因・症状
3歳以下のお子様の80%が一度はかかると言われています。風邪などの鼻水が原因となることがほとんどです。細菌やウイルスが、耳管(鼻と耳をつないでいる管)を通り、鼓膜の奥(中耳という空間)に入り、炎症がおきる病気です。
一般の方が思われているような耳の外から水や菌が入って急性中耳炎になる事はほとんどありません。さらに進行すると鼓膜の一部が破れて、耳から耳だれが出てきます。
小さなお子様に多い理由は、大人と比較して耳管が太く、短く、水平に近いため、鼻水の影響を受けやすいからです。
大人の場合は重症化、難治化することは比較的少ないのですが、乳幼児、特に集団保育(託児所や保育園)の場合は再発しやすく、重症化、難治化することもあります。
放置しておくと、滲出性中耳炎や慢性中耳炎に移行する可能性が高くなります。
治療
- まず抗生剤と鼻水をおさえる薬で治療していきます。
- 炎症が落ち着くまで約5日~2週間程度かかります。完治するまで治療継続が必要です。(炎症の程度、菌の種類により治るまでの期間が異なります)
- 膿がたまり鼓膜が腫れ、痛みが強いときや高熱が続く場合は、痛みや熱を早く治めるために、鼓膜切開術(鼓膜に2~3mm穴を空け、鼓膜の奥に溜まっている膿を除去)を行います。
- 当院ではできるだけ鼓膜切開をしないで完治することを目標にしておりますが、必要と判断したときは切開をお勧めします。
耳管機能不全
耳と鼻をつないでいる「耳管」は、正常は塞がっていますが、外の圧力が変化した際に耳がつまった感じを感じて、つばを飲み込んだり、あくびをすると一瞬開きます。この管が塞がりっぱなしになった状態を耳管狭窄症、開きっぱなしになった状態を耳管開放症といいます。
耳管狭窄症
原因・症状
アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎や咽頭炎など様々な原因があります。
鼻の中から奥の腫瘍が原因となっていることがあり、一度は鼻の奥まで確認が必要です。症状は自分の声が響く、耳が詰まった感じがする、耳鳴りがする、などがあります。
治療
鼻炎など炎症が原因の場合には、抗生物質や抗アレルギー薬など炎症をしずめる治療を行います。耳管通気という、鼻の奥に管を入れ、耳管に圧をかけて通す治療で様子を見ることもあります。
耳管開放症
原因・症状
体重減少、顎関節症、妊娠、ストレスなどが原因である場合が多いですが、原因が不明な場合もあります。症状は耳管狭窄症と同様なことが多く、区別が難しいことが多いです。
治療
症状に応じて、鼓膜に小さなフィルム、テープを貼る処置、漢方薬の内服治療、薬液の耳管内噴霧処置の中で選択をします。自宅では生理食塩液の点鼻をお願いすることがあります。